“スゴ腕”技能者の頭の中、<br>開いて、取り出して、デジタル化

“スゴ腕”技能者の頭の中、
開いて、取り出して、デジタル化

むか~しむかし、建設現場の仕事は経験者でなければ務まらないと言われていたそうな。なぜなら、どれだけ精巧な図面があっても、現場の地盤が軟弱だったり、安全性の確保が難しかったり、想定外の出来事が次々起こり、場数を踏んだ監督でなければ、仕切れないと言われておったからじゃ。

時は過ぎ、DX時代が到来する─

現在オノコムの建設現場では、現場未経験の新人や中途採用者が、当たり前のように施工管理に携わっている。工事本部の曽木宏工事長は、その変化の原因について、以下のように証言する。

「VDC(Virtual Design and Construction)が実用化したことにより、企画・設計・計画だけではなく、現場の仕事が一変しました。以前は、現場に入らなければわからないことが多く、想定外の土量が出て重機を追加したり、日数計算をやり直したり、経験豊富なベテランでなければ対応できませんでした。ところが、今はドローンやLiDAR(3Dレーザースキャナ)などを使った空間スキャニングを使えば、事前に現場をミリ単位で把握できるし、車両の搬入経路や人の稼働までシミュレーションでき、現場に入ってからも遠隔地の設計者と3DモデルやVRで正確かつリアルタイムに情報共有できるから、現場経験が少ない新人でも高い生産性を出せるようになりました

オノコムのデジタル建築を支えるVDCメソッドの内容

オノコムのデジタル建築を支えるVDCメソッドの内容 オノコムのデジタル建築を支えるVDCメソッドの内容
詳細はONOCOM VDC(Virtual Design and Construction)

大量生産品のメーカーならば、試作を繰り返し、失敗したら作りなおせる。しかし、建築物は1点ものゆえに失敗が許されない。オノコムは、その課題をデジタルで事前に検証することで解消したのである。空間スキャニングで現場を正確に把握し、バーチャルで徹底的にシミュレーションを行い、24時間監視可能な現場環境を整備し、経験と勘に頼らない施工管理を実現したのだ。

「今まで一級建築士や1級建築施工管理技士の頭の中にしかなく、共有できなかった設計手法や、経験豊富なベテランの技術を、VDCが誰でも使えるように見える化したのです。今はVDCを応用することで、ほぼほぼシミュレーション通りに工程を管理できます。現場って複数のタスクが複雑に絡み合っているから、ひとつ工程が遅れると全部に影響してしまうのですが、今はタスクもデジタルで管理されているから何が起きても迅速に対応できます」(曽木)

3Dスキャナが佇み、ドローンが飛び交い、360度カメラが24時間稼働するオノコムの施工現場は、工事部の社員だけではなく、作業を担う業者さん・職人さんにとっても、仕事がしやすい現場になったのである。

めでたし、めでたし─

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