「新社長、建設会社やめるってよ」、<br>爆弾発言に社内騒然

「新社長、建設会社やめるってよ」、
爆弾発言に社内騒然

イギリスのAAスクール(王立建築学校)で建築デザインを学びながら、ロンドンでデザイン会社を立ち上げた現代表の小野達朗。現会長である父親に呼び戻され、「日本に帰って自分で会社自体をデザインするのも、おもしろいかも」と思い、代表就任を引き受けたものの、調べてみると累積赤字でオノコムは倒産寸前。父親に騙されたと思ったが後の祭り、覚悟を決めた小野は、建設業界の固定概念に捉われない、誰も見たことがない建設会社をデザインしよう!と決意する。

新社長に就任した小野は、全社員を集めて開口一番こう言った。「今日で建設業をやめます。今日からうちは建築プロデュース業になります」と、スティーブ・ジョブスさながらの名言を吐いたが、全社員は口を開けてポカーンとしていた。「オノコム、オワタ」とのつぶやきが聞こえたとか、聞こえないとか。

その言葉の意図について「我々は、従来型の決められたものを造るゼネコンから脱却し、プランニングから入ってプロジェクト全体のイニシアティブを握り、創りたいものを造れる会社に生まれ変わることを目指します。そうすることが、結果的に収益を向上させ、会社の成長につながると考えるからです」と小野は語る。では、どうすれば建築プロデュース業になれるのか。その手段として小野が目をつけたのが、最先端テクノロジーを誰でも使えるサービスに変えるクラウドを中心とするITだった。

「建設業ほど、施主側と施工側の相互理解が難しい業界はありません。例えば、平面の建築設計図を見て、立体の建物をイメージできる施主なんていませんよね。この『図面から建物のイメージができない』ことが業界の改革を阻む要素であるならば、まずそこから崩せばいい。そのために必要なのが、テクノロジーのフル活用だったのです」と、小野はオノコムで巻き起こした革命的な取り組みの発端を話す。

現在推進しているデジタル建築生産メソッドVDC(Virtual Design Construction)による最初の事例となったミナト設備工業株式会社の事例。

とはいえ、小野1人では何もできない。最先端のテクノロジーを自由自在に使いこなす相棒を、見つけることが最大の難関だった。

スティーブ・ジョブズがスティーブ・ウォズニアックを必要としたように。

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