“建てない建築”から始まる
ビルディング・エンターテインメントの時代
近い将来、建築はエンターテインメントになると代表の小野は予言する。宇宙船のような流線型のオフィスビル、魔女の屋敷のような不穏な建物、巨大な生命体のような有機的な工場、スーツケース状にデザインされた移動店舗、そんなユニークな建築物を目にする日が、まもなくやってくる。
「10年後、いや数年後には“建てない建築”の時代が来る。今オノコムはデジタルで設計後、アナログ変換して人間が建てている。しかし、少子化で現場の人材が高齢化しており、いずれアナログでの建築には限界がくる。一方、3Dプリンタ技術が発展し設計から施工までフルデジタルな建築が可能になってきた。当面は3Dプリンタを使いながら、アナログ技術を活かしたハイブリッド型の施工を続けていくが、『なければつくる』を極めればいずれ“建てない建築”に行き着く」と小野は話す。
国内では2025年春から宮城県仙台市で、日本初の3Dコンクリートプリンタ(以下3DCP)による「基礎から2階構造体まで」を現場で一体印刷するプロジェクトがスタートした。これまで3Dプリント建築は、主に平屋や小規模構造に限定されてきたが、同物件は構造の強度、設計の自由度、安全性という多層階のハードルをすべてクリアし、3Dプリンター建築の新たな地平を切り拓くものとして業界内外から大きな注目を浴びている。
フィリピンでは、デンマークのCOBOD社と協業して3DCPを導入し、現地で手に入るコンクリートを活用して年間70〜90万棟不足している住宅問題の解決に貢献していく考えだ。
INFORMATION
日本初、3DプリントxRC(以降3DCP)による2階建て住宅が完成。
「飽和状態で何でもある時代だから、先進的な経営者やクリエイターは、今までにない何かを生み出したいと考えている。アートやプロダクトの世界では、革新的な作品が生まれているが、建築はこれから新時代がやってくる。ビルディング・エンターテイメントという言い方が適切かわからないが、『なければつくる』の精神で“建てない建築”にチャレンジしたい」と小野は未来を展望する。
柱や梁がないかのような自由な形状で設計でき、外装は積層コンクリート、床や壁、家具は樹脂で成形できる3Dプリンタ住宅、特徴は工期が短く、人手もかからず、端材も出ず、費用を破格に安くできること。昭和の時代「家は一生に一度の買い物」と言われたが、 “建てない建築”が当たり前になれば、ライフステージに合わせて何度も家を持つことが現実になる。
ゼネコンからビルディング・エンターテインメント時代のリーディングカンパニーへ、オノコムは今まさに進化の只中にある。
「ONOCOM-ZINE」とは?
オノコムのIT活用を推進するiTeamsが自社を独自に取材し、事実に基きつつも適度に脚色を加えながらユルくお届けする情報発信メディアです。


