365日開放の360度型のステージで<br>思う存分モノづくりを楽しむ
PARTNER’S INTERVIEW / VIBROA 吉田利行氏<後編>

365日開放の360度型のステージで
思う存分モノづくりを楽しむ

<前編>デザインという絶対価値を武器に、相対価値の市場に波紋を起こしたい

アストン・マーティンがデザインした「N°001 MINAMI AOYAMA DESIGNED BY ASTONMARTIN(以下、N°001南青山)」は、住宅を超えたアート作品だ。細部まで美を追求したデザイン、妥協なく本物にこだわった建材、唯一無二の空間演出、VIBROA代表取締役の吉田利行氏が、この困難なプロジェクトを完遂する設計施工パートナーに選んだのがオノコムだった。


アストン・マーティン本社から突拍子も無いデザイン案が届く。これをいかにして日本の法規制や気候風土に合わせた設計に落とし込むかが、プロジェクトの成否を握る。VIBROAサイドの建築士やクリエイティブディレクター、オノコムのVDC室、工事本部らメンバーは、空想上の生き物を現実世界に召喚するかのような途方も無く困難なプロジェクトと連日連夜向き合った。

「オノコムの強みは、社是の通り『なければつくる』だ。ゼロイチで建築物をつくるのは知識や技術だけではできない。アイディア、感性、パッション、すべてが揃わなければ成し得ない。N°001南青山は『なければつくる』の連続だった。バルコニーと屋上をつなぐモニュメントのような階段を、あの納期と予算でつくるなんてオノコムにしかできない。国内トップクラスのゼネコンだって尻尾を巻いて逃げだすような代物だからね」と、吉田氏は笑う。

巨大な1枚の鉄板を折り紙のように曲げて造形された螺旋階段のデザイン画がアストン・マーティンから届いた。どう造形すれば良いのか、まったくわからない。この無理難題をオノコムは、モニュメントやアート作品を手がけるグループ会社ファクトリー・アート・スケープ(FAS)と連携して天井高5メートル以上の工房でつくりあげた。

オノコムのグループ会社「ファクトリー・アート・スケープ(FAS)」でつくり上げた一枚鉄板の折り紙のような階段
オノコムのグループ会社「ファクトリー・アート・スケープ(FAS)」でつくり上げた一枚鉄板の折り紙のような階段は、このレジデンスを象徴するアイコンの一つだ。FASスタッフ立ち合いの元、慎重な取りつけ作業が行われた。
南青山のレジデンスのVDC導入
都心の狭小地という難易度の高い条件をクリアしていくために、プロジェクトの最初期からVDC(Virtual Design and Construction)を取り入れた検討が行われた。

「なぜオノコムは他社ができないものをつくれるのか、議事録を見て謎が解けた。彼らは全国の材料会社、工場に連絡して膨大な交渉をこなし、議事録には◎、○、△、×が数え切れないほど並んでいた。クレイジーなレベルのムダ打ちが『なければつくる』を支えていた。一番大事な見えないところの所作、それがオノコムにはある。こういうメンタリティーの人たちと、僕は一生の付き合いをしていきたい」

螺旋階段にとどまらずトリムレスのダウンライトやアルミパネルのファサードなど、ありえない構造物を施工するため、オノコムが数え切れないほどのムダ打ちをした。

赤坂オフィスでの様子
今後のプロジェクトの構想について話す吉田利行氏(左)。同席するのはオノコムのN°001 MINAMI AOYAMAチームである(左から)岸田 政樹、飛田英一、林直人。

「ゼネコンは読んで字のごとくゼネラルコンストラクション(総合工事業)ですが、オノコムは調査能力や動き方、クリエイティビティにおいて他ゼネコンとは永遠に埋まらない差がある。社員も只者じゃない。おそらく当事者意識が高いのだろう。直人も岸田も、まるで社長然としている。探究心があるし、責任を背負っている。飛田なんか不器用な男だが、僕は絶大な信頼を置いている」

プロジェクトがスタートして間もない頃、六本木ヒルズや東京タワーを見下ろす南青山の更地に立った吉田氏はオノコムのメンバーに「ここは365日開放している360度型のステージだ。ここで思う存分モノづくりを楽しもう」と声をかけた日のことを忘れないという。

その証としてメンバー全員でお揃いのヘルメットとジャケットを仕立てた。

「最高のステージに立つメンバーが普通の作業着じゃかっこつかないからね。お揃いのステージ衣装を着て、世界に誇れるモノづくりをしようって話したんだ」 エピソードを話す吉田氏のジャケットの胸元には「ONOCOM」の文字が光っていた。

オノコムのユニフォームを羽織る吉田氏
取材が始まるとおもむろに“マイ”オノコム作業着を取り出し、羽織っていただいた。取材陣にも気さくにふるまう、吉田さんらしいワンシーン。

プロフィール

「ONOCOM-ZINE」とは?

オノコムのIT活用を推進するiTeamsが自社を独自に取材し、事実に基きつつも適度に脚色を加えながらユルくお届けする情報発信メディアです。