英国の自動車メーカー、アストン・マーティンが手がけるアジア初の“Designed by Aston Martin”住宅。日本のオフィシャル・パートナーとして同プロジェクトの企画・開発を手がける株式会社VIBROA代表取締役CEOの吉田利行氏にプロジェクトの概要やオノコムとのパートナーシップについて伺った。
「あの人がつくったプロダクトだから価値がある。あの会社が建てた建築では値段はつかない─。世の中のモノは、そういう相対価値で値段が決まっている。では、その源泉は何か。行き着いた答えがデザインだった。デザインという絶対価値があれば、相対価値とは別の価値をつくれるはず。VIBROAが目指すのは、絶対価値を持つデザインだ」と、吉田利行氏は話す。

銀行や投資ファンド、不動産のファンドマネージャーなど金融の世界を歩んだ後、2019年にVIBROAを設立。「長く虚業と言われる世界で生きてきた。しかし、僕のルーツは実業にある。宮大工の棟梁だった母方の祖父、実業家だった父方の祖父、その血がいつか実業をやりたいと叫んでいた」と、吉田氏は独立の経緯を話す。
2024年4月、66階建の最高級コンドミニアム「Aston Martin Residences Miami」を米国マイアミに完成させ、ブランデッド・レジデンスに参入したアストンマーティン。次のターゲットとして狙いを定めたのはアジア市場だ。アジアでのプロジェクト展開にあたってオフィシャルパートナーに指名されたのがVIBROAだった。

2022年末、「N°001 MINAMI AOYAMA DESIGNED BY ASTON MARTIN(以下、N°001南青山)」プロジェクトが発表された。オートモーティブギャラリー、ワインセラー、ジム、プライベートスパを備えたアストン・マーティンのデザイン思想が惜しみなく注ぎ込まれた最高級邸宅が港区南青山の高台に建設される。VIBROAの役割は、英国アストン・マーティン本社から送られてくるデザイン画をもとに日本の都市計画法、建築基準法、自治体の条例などに合致させて“カタチ”にすることだ。
このプロジェクトの設計施工パートナーとしてオノコムに白羽の矢が立った。
「建築家・デザイナーの鄭秀和さんを介して小野社長と出会った。小野社長はアストン・マーティンが本社を構える英国の AAスクール(王立建築学校)出身でアートに精通し、創業90年のゼネコンに最先端のデジタル技術を導入して商業建築から工場、オフィスビル、住宅まで豊富な実績を持っていた。しかも創業者は宮大工というのだから前世から縁がある。パートナーはオノコムしかない、即断した」
ファンドマネージャーとしてグローバル規模の不動産プロジェクトに携わってきた吉田氏は、建築分野におけるBIM(Building Information Modeling)の重要性を肌で感じていた。オノコムにどれほどのポテンシャルがあるか知りたくて、豊橋本社を訪問した際、吉田氏は「将来的にはUnreal EngineとTwin Motionだと思っている。それを動かすにはNVIDIAのGPUが欠かせないと思っている」と話すと、VDC室のTechnical Manager林和弘が「僕らNVIDIAとアポとっているので、今度吉田さんも一緒にいきませんか」と予想の斜め上をいく答えがかえってきた。さらに、杉浦裕介CDOから「木更津の現場にStarlink入れたので見にきませんか」と追い討ちをかけられ、吉田氏はその技術と知識レベルの高さに頭を殴られたような衝撃を受けたという。

吉田氏は、英国にオノコムのメンバーを同行させ、アストン・マーティン本社メンバーに紹介するほど、オノコムに全面的な信頼を置いている。
「会社は違えど、つくり手として志を同じ、BIMの実績、AR・VRとの融合に関してオノコムは世界と比しても、その絶対価値は揺るがないと思う。オノコムなくしてN°001南青山プロジェクトは成立しなかった。そこに絶対価値がある」と吉田氏は語る。
アストン・マーティンが計画するアジア2軒目のブランデット・レジデンス「N°002プロジェクト」でもVIBROAは引き続きオノコムとのパートナーシップを継続する。
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