ピラミッドからフラットへ。<br>衝撃の組織再編劇の舞台裏

ピラミッドからフラットへ。
衝撃の組織再編劇の舞台裏

就任早々「今日で建設業をやめます」と爆弾発言をして社内を騒然とさせた代表の小野は、追い討ちをかけるように社内組織の大改革に着手した。ピラミッド型の従来組織を土台から解体し、上下の階層がないフラット型組織へ全面的な再編を強行したのだ。

フラット型組織への転換は、社内の序列を根本から覆す劇薬であり、社員は戦々恐々としたかと思いきや、当時を知る渡邊直樹(現CHO:Chief Human Officer)は、「あの頃はリーマンショックで財務が悪化しており、それに危機意識を持っていた大半の社員は、案外すんなり改革を受け入れていました。むしろ若手は歓迎していたんじゃないかな」と話す。

当然ながら年功序列で昇進してきたベテランからは不満の声が上がったが、小野は改革を断行した。「この業界は10年前から何ひとつ変わっておらず、このままでは斜陽化するのは目に見えていました。だから、どんな障壁があっても改革を進めなければならない、その決意は揺るぎませんでした」と、改革遂行の意図を語る。これにより社内の空気は一変した。

フラット化に伴い、マネージャー制が撤廃され、取締役会直下に支店が連なる組織構造を採用、30代の若手社員を支店長に抜擢し、予算も人事も一任した。

「30代で豊川支店を任されたときは、部下に50代の元上司もいましたから、正直ビビりましたよ。でも、自分の判断で予算も計画も決められるので、すごく仕事はやりやすかったですね」(渡邊CHO)

「私はグループのオーラッドにいたのですが、突然『明日からデザインセンターに異動な』と言われ、異動したら上司が1人もおらず、自由にやらせてもらえたので仕事が楽しくなりましたね」(幸せンター長)

オノコムの組織変革を最前線で見てきた3名に話を聞いた。[後ろ]渡邊直樹CHO(Chief Human Officer)、[左]幸(みゆき)克洋 オノコムデザインセンター センター長 、[右]鈴木悠介 営業本部 統括

ピラミッド型組織を解体し、従業員に自由と責任を与えた結果、オノコムの業績は急回復を遂げ、その5年後には創業来最高益をはじきだした。
オノコムの成長神話は、DXだけではなく、改革を受け入れて能力を解放した社員たちの成長に支えられていたのである。

抜本的な組織再編は他社から見たら劇薬といえるものだったが、その後、ブーストするオノコム改革からみれば、ほんの“はじめの一歩”に過ぎなかった。

「ONOCOM-ZINE」とは?

オノコムのIT活用を推進するiTeamsが自社を独自に取材し、事実に基きつつも適度に脚色を加えながらユルくお届けする情報発信メディアです。