Beyond the 90th Anniversary <br>〜90年の時を超え、今蘇る創業の精神〜

Beyond the 90th Anniversary
〜90年の時を超え、今蘇る創業の精神〜

Louis Vuitton、Cartier、ROLEX、Aston Martin、資生堂、任天堂、とらや、いずれも創業100年を超え、今も輝きを放ち続ける企業である。100年企業には共通する特徴がある。それはオリジナリティを失わず、品質に妥協せず、顧客を大切にし、社会的使命を果たし、時代の変化に合わせて挑戦や革新を続けながらもブランドイメージがぶれないことだ。90周年を迎えたオノコムもこれらの100年企業と同じ道を歩もうとしている。

1934年、宮内省(内匠寮建築課)で皇居の営繕を担っていた小野常次が、豊橋の地に小野工務店を創業。常次は建築の神様である聖徳太子を崇め、十七条憲法に定められた“和を以て貴しとなす”といった言葉や、“お客様第一だが、その前に従業員の幸せがある”といった言葉を残した。90年経った今も、それらの言葉からなる創業精神がオノコムの礎となっている。

昨年、90周年の記念行事を開催。関係者一同で90周年を振り返るとともに、さらなる成長と変革への意思を共有した。

「90周年を迎え、改めて思ったのは、企業も建物も礎がしっかりしていなければ、時代の変化を乗り越えられないということです。当社は“なければつくる”を掲げ、最先端技術を積極的に取り入れて事業を成長させてきましたが、革新的な挑戦ができるのは、長年培ってきた取引先や協力先の信頼と社員との揺るぎない関係性という礎があるからだと考えています」と代表の小野達朗は90周年を迎えた心境を話す。

創業112年を数える英国の高級スポーツカーメーカーAston Martinがアジア初のレジデンスプロジェクトの施工パートナーにオノコムを選んだ理由の1つも、創業90年の歴史を重ねていたからだった。クラフトマンシップで妥協なきものづくりを追求してきたAston Martinは、本物を創造するには歴史と技術と挑戦の積み重ねがモノを言うことを理解しているからだろう。

90周年を迎えた2024年は、オノコムにとって原点回帰の年となった。

グループ会社を大胆に再編し、創業時の屋号「小野工務店」の社名をグループ会社の社名として復活させ、創業者ゆかりの地である皇居を望む大手町のオフィスを本社に変更した。「特に原点回帰を意識したわけではない」と小野は話すが、無意識に原点を見つめ直す時期に来たとの思いがあったのかも知れない。

オノコム本社が入る大手町のオフィスビルから望む景色
オノコム本社が入る大手町のオフィスビルから望む景色

オノコムは、この15年間に大手上場企業や海外との取引が増え、営業エリアが拡大、社員も増え、売上高5倍が視野に入る急成長を遂げた。得てして急成長を遂げた組織は、創業理念が希薄になったり、社員一人ひとりに目が届かなくなったり、足元が疎かになったりすることもある。オノコムにその傾向があるとは言わないが、小野の無意識の意識の中には、成長を続ける今こそ、原点を見つめ直し手綱を引き締める必要があるとの思いがあったのではないだろうか。

目前に迫った100周年に向け、オノコムの向かうべき道を問うと、小野らしい答えが返ってきた。

「経営者として失格かも知れないけど、僕はワクワクしたものづくりをずっと続けたいんですよ。それは1人ではなくチームじゃなければできないことです。そのチームを構成するのはもちろん社員ですが、アライアンスを組むパートナーの存在もますます重要になります。100周年を控えた今、改めて創業の理念に立ち返りつつ、時代の変化を見極めて変えるべきところは躊躇なく変えていく。手の痕跡を残す仕事を追求しながら最先端のデジタル技術を取り込んでいく。我々の強みはこのハイブリッドなので、そこをブラさずワクワクするものづくりを続けていきます」と展望を話してくれた。

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